徘徊雑句33(花鳥21)

車窓より一瞥ちらり新茶の丸きうね 茶畑の畝  
  

葭切よしきりの声葭原よしはらを埋め尽くし  歌うヨシキリ   
  

骨軋む羽搏き雉子きぎす浮揚せる  雉のホロロ  雉のホロロ2

手に蚊来て一心不乱吸血す  

目映まばゆくも椎の樹冠や花たける   花盛りのスダジイの樹冠  
  

悉く枝られたれども楠芽吹き  楠の芽吹き  

桐の花去年こぞの実と並び咲きにけり  桐の花
  
紫の鷺藤の花煽りをり  藤の開花を促すように羽ばたくムラサキサギ   
   
  
早苗田に鷺豊穣の舞いを納む  早苗田に舞い降りる白鷺  早苗田に舞う白鷺  
  
光沢を競いて墓石林立す

己が巣を取りたがふなきや鷺ひしめき  ひしめきあって営巣する白鷺

子をたがふことなきや鷺ひしめきて  
  

蝶一瞬果し合いせり空中に  春紫苑に止まるキタテハ

耕運機去り道に点々泥団子

楠の花散り敷き歩道あかく染む  散り敷く楠の花  
  
こぼたれ雲雀ひばり中空に嘆き止まず 禾痛き麦の穂  
  
揚雲雀あげひばり天空そらに溶けなをさえずれる  揚雲雀