データ爆発

 このところ写真を撮る機会が増え、NASの空きスペースが枯渇しつつある。それは当然だろう。15年前のデジカメの解像度はたかだか2Mメガピクセルだったが、いまは40Mとか60Mに達しており、しかもそれをRAW形式で保管したりすると、一枚の写真で軽く50MBメガバイト程度に膨張する。動画では、更に加速して、たかだか30秒程度の動画が300MBを超える巨大なファイルになる。仮に一回のロケハンで静止画100枚と動画5分の撮影をしたら、それだけで10GBギガバイトほどのファイルが出来てくる計算になる。毎日10GBの割合でデータが増加したら、毎年3TBテラバイトのスペースを増設しても追いつかない勘定である。
 2018年に、これでもうデータ容量は死ぬまで心配いらぬであろうと6TB(x2:ミラー構成)のNASを導入したのであったが、6年ではや破綻しかかっている。市場を調べてみると、HDDは個人向けでも1台の容量が20TB超まで増えてきているが、単価もそれなりに上がり、TBあたりの価格でみると4000円見当で6年前からそれほど大きくは下がっていない。一方、SSDの方は急速に値下がりしてきていて、TBあたり8000円程度なので、HDDの2倍ぐらいの水準にまで迫ってきていて、早晩HDDと肩を並べるであろう(注1)。メモリーを大食いするAIブームがこれに輪をかけ、アクセス速度が格段に速いSSDが席巻して、かつてのFDと同じようにHDDって何?という時代になることは必至である。次の外部媒体としてどちらを選ぶべきか迷うところだが、現時点ではまだ、価格的にHDDの方に優位性が残っている。自分の懐と相談して、HDDを選び、16TB(x2:ミラー構成)とした。さてこれで後何年しのげるだろうか。

注1.アマゾンから30TB/1万円のSSDの広告メールが来た。案内ページを見ると20TBや16TBならさらに安い激烈な価格で、これが本物なら、価格破壊の極み、従来の記憶装置メーカーは全滅だろう。ちょっと眉につばを付けざるをえない。でも星の数ではそれなりに高評価が多く、称賛や感謝の記事で埋め尽くされている。なんか怪しいと調べたら、案の定、詐欺製品のようだ。買って分解した人がいて、中身は64GBのSDメモリー(デジカメなどで使う切手大の記憶媒体)だが、内臓のソフトウエアが接続機器を騙し、初期化すると、容量は30TBと表示される。使用していくと最新のデータは保存されるのでちゃんと再生できるのだが、容量が足らなくなると古いものはインデックスだけ残して本体は尻抜けで消していく巧妙なトリックが仕掛けてあるので、騙されたことに気づきにくいらしい。悪知恵の働くことよと舌を巻くが、アマゾンはこんなまがい物の片棒を担いでよいのか。

補注
1.NASはNetwork Attached Storage(LANに接続した記憶装置)の略語
2.HDDはHard Disk Driveの、SSDはSolid State Driveの、FDはFlopy Diskの略語、いずれもパソコンやスマホの記憶媒体
3.MB、GB、TBは、それぞれMegaByte(100万バイト、10の6乗)、GigaByte(10億バイト、10の9乗)、TeraByte(1兆バイト、10の12乗)で、データサイズの単位略号