徘徊雑句29(花鳥17)

  
いかづちは太き公孫樹イチョウの幹を裂き  強剪定された公孫樹               
水晶体をケサランパサラン游泳す  
  
鉄塔を登りおほせるかくず挑む  鉄塔を這い上がる葛  
  

浮きつ沈みつゴム長運河流れ行き

棘鎧い誰がための蜜アザミ秘す  薊の花と蕾

うぐいすの声満山を領したり

芭蕉うねり風を孕みて空に昇る 芭蕉の葉群

平地なれど遠き坂道ず如し

下闇の蜘蛛の巣払いつつ歩みたり  蜘蛛の巣

驟雨来て片身ようやく雨宿り

黒衣纏い鴉炎熱に喘ぎをり  あえぐ鴉  

聴こえざる歌へと耳をそばだつる

鎌首に眼ある如くくずつる  獲物を狙う葛の蔦

鳥寄するたえなる呼子の在りぬべし

水馬アメンボウを追て水輪みなわの走るべし  水馬(アメンボウ)
托卵の許可キョカ求むるか時鳥ホトトギス
 

水馬アメンボウ表面張力踏み抜かず 水面で番う水馬

なに包む蓮華れんげほろほろ散りにけり   散りかけの大賀蓮
銀蜻蛉ギンヤンマ悠然領空哨戒す 池の上を哨戒する蜻蛉
吹きたぎるごとし淡きダリア咲き    黄ダリア

山桃の実散る樹下を迂回せり ヤマモモの落果