徘徊雑句26(花鳥14)

草木そうぼくの命の匂い死の匂い 草原と森

ガジガジと炎熱はやす蝉幾万  落ち蝉  
    
片陰に信号待ちす老いたる乎
  
くずたけし太陽光パネル覆いたる   太陽光パネルを覆う葛  
   

筑波嶺に雲のしかかり黒雨来たる
  

野分去る青き団栗どんぐり散らかして 台風一過の路上の青団栗  
  

逆しまに吊り下がり蜘蛛風を編む 宙吊りの蜘蛛 逆さまに構える蜘蛛 
卵生み着くべき葉もとめ蝶迷ふ モミジに止まる揚羽 メタセコイアに止まる揚羽
  
柘榴裂けあかき粒ふたつ輝ける  ザクロの裂け目からのぞく輝く粒々  
  

酷暑にも暦狂わず彼岸花 彼岸花の蜜を求める揚羽  
  

主亡くも蜘蛛の巣虹を織り揺るる 虹色に耀く空の蜘蛛の巣 
 
尺取り虫の刻む余命や道遠し