鬼怒川/一九七九 2018-06-101980-03-18 熱を奪う 腰までの水 風の包囲 雲の地平 重い網を投つ さっと 空いちめんに拡がる まなうらの血の網目を 掻きむしるようにたぐれば 折れた棒杭 聴きもらした音節群のささくれ もつれたままかじかんでいる指 すべての 像は観念の手前で焦点を結び ただ、ひとつかみの塩が 痛いかぎ裂きの網膜を襲う 崩れおちる雲の地平 吹きさらす風の包囲 熱を奪う 首までの泥水 喉の 吃水まで満ちてくる膿
熱を奪う 腰までの水 風の包囲 雲の地平 重い網を投つ さっと 空いちめんに拡がる まなうらの血の網目を 掻きむしるようにたぐれば 折れた棒杭 聴きもらした音節群のささくれ もつれたままかじかんでいる指 すべての 像は観念の手前で焦点を結び ただ、ひとつかみの塩が 痛いかぎ裂きの網膜を襲う 崩れおちる雲の地平 吹きさらす風の包囲 熱を奪う 首までの泥水 喉の 吃水まで満ちてくる膿