握りしめたる辛夷やうやう緩みあり
恐と啼く鵯は恐竜の子孫なれ
ジャリジャリと目玉転がすゴビの砂
山吹の黄濃し闇を掃き清め
干布団叩く木霊や春遅し
越冬の水鳥去て池寥々
カラス模すビニールの贄吊られをり
沈丁花闇に香りて悔い募り
花びらの吹き寄せられて溝埋む
水に浮く花びら鯉に呑まれたり
梨の花桜を追ふて咲きにけり
満身に棘を鎧て薊咲く
昂然と雌欲る雉や野にほろろ
藤の房垂れて項を掃かむとす