徘徊雑句32(花鳥20)

主失せて鯉ら永日游泳す (*1)  池を見下ろすカワセミ

風削る水面みなもに光躓ける きらめく水面

可憐なる花の名前は犬陰嚢フグリ    オオイヌノフグリ

脇道へ逸れ逸れ逸れてここ何処いずこ 
烏瓜鴉も寄らず冬を越ゆ カラスウリ   
追い抜かれまた追い抜かれ衰昂ず
    
徘徊の我が影のろし路上這う   

逢引きを約せし場所は塔の先端さき 飛び立つトンビ 鉄塔の上のトンビ
    
握りたるこぶし開けば花五裂 (*2) 辛夷の花

求愛か諍いか鴨騒ぎをる ロンドするカモ

いつの間に蕗の薹立ち旬は去り

春きたり両岸に鳥啼き競い 里に出てきたキジ     
ついと花離るるや蝶に風の吹き    カレハチョウ
   
   

*1 カワセミの出なくなった池畔で

*2 辛夷の花は六辯