きんぴら牛蒡

 きんぴら牛蒡は献立に窮したときによく逃げ込むいわば定番の一品だ。準備で心がけているポイントが3つある。
1.よく洗って泥は落とすが、皮は剥かない。香りは皮に一番豊富だ。
2.できるだけ薄い笹掻きにする。
3.笹掻きは水にさらさない。水にさらすと灰汁は抜けるが、それは牛蒡の精髄を抜くに等しい。
 笹掻きにする前に、牛蒡に縦に切れ目を入れておくと笹掻きが細く仕上がる。この技は近所の人から教わって重宝している。簡単だがとても合理的な技だ。包丁の先端で牛蒡の全長に縦に深い切れ目を入れる。牛蒡を回転させながら、太さに応じて4本ないしは5本、6本の平行な切れ目を入れてから笹掻きすると、細い笹掻きができる。厚みを薄くするには、鉛筆を削る要領で、水平に近い角度で包丁を走らせる。
 コンニャクと合わせる場合は、まず細く刻んだコンニャク(または糸コンニャク)をフライパンに入れ、カリカリになるぐらい、しっかり水気を飛ばすのがコツだ。後の味付けで調味料がよく染みる。コンニャクが炒まったら、笹掻き牛蒡をフライパンに投入し、一緒に炒める。好みに応じて小さく刻んだ鷹の爪を合わせるのも良い。牛蒡に火が通ったら、酒、味醂、醤油を加え、最後は香り着けのゴマ油を少々振りかけて混ぜれば、出来上がり。
例によって調味料の分量は適当で、計ったことがない。塩味は後で足せるから醤油は少なめを心がけている。最近は手抜きで、調味料を麺つゆ(希釈前)だけで済ますことも、ままある。