徘徊雑句20(花鳥8)

山吹の黄濃く光集めたり 山吹の花
       
それぞれの花それぞれに虫招き 葱坊主の蜜に蜂 キスゲの花に来た小さな蜂 チシャノキの花にたかる蟻 春紫苑に寄る蝶
    
雪崩咲く花栗汗を煮詰めをり 栗の花盛り
  
畦道を雉先導し神下る 畦道を渡る雉
  
庚申塚の紅殻の碑銘暑気に溶け 紅殻の銘が溶けた庚申塚
  
毒だみや木下闇の仄明り ドクダミの花
  
蟷螂かまきり孤り梔子くちなしの花に棲み 梔子の花に棲む蟷螂の子
  
微風にも靡く薄紅合歓ねむの花 微風にそよぐ合歓の花
  
紫陽花の毬にならむと咲きにけり 紫陽花の毬
  
炎熱を遣らむと鴉喘ぎをり 炎暑に喘ぐ鴉
  
夏もみじ翼果離陸を待ち構え もみじの実