徘徊雑句22(花鳥10)

蛞蝓なめくじやアンモナイトの夢を曳き 

懸命の足掻あがきは見せず鴨急ぐ  軽やかに水面を進む真鴨
雲裂けて光の柱起立せり  

  
ひよどりの悲鳴鋭し悔い募る  甲高く啼くヒヨドリ 

ジークフリートの浴びたる血かくや竜果食む  ドラゴンフルーツ   
赤錆びて蜻蛉とんぼ冷たき石にすがる  石にすがる赤トンボ
  
忿翁ふんのうの睾丸の如吊るし柿  吊るし柿
  
フィボナッチの呪い担ぎて蝸牛かたつむり
  
花をはや孕みて辛夷こぶし冬を耐ふ  辛夷の花芽
  
水鏡揺らさず小鷺歩みけり  忍び足で歩く小鷺
  
華やげる残像あえか紅葉散る  散る間際の紅葉
  
待ち焦がれし翡翠かわせみ光臨す素気なく  再臨したるカワセミ
  
翡翠カワセミは鳥 翡翠ヒスイは宝石 ルビ魔法  振り返るカワセミ
  
風にがまの穂わたを飛ばしをり  爆ぜたる蒲の穂
  
小雪舞う半ズボンの児の膝冷た
  
冬の虫集めむとして椿咲く  紅椿