イカのワタ煮

 イカはほとんど捨てるところのない食材だ。ワタ(肝臓)は捨てられることが多いかも知れないが、これを食べない手はない。一番使われるのは塩辛向けだろうか。ただ、こちらは本体が生食用の新鮮なものでなければならず、素人には手が出しにくい。一方、煮物は加熱するので鮮度にはこだわらなくてよく、手軽だ。以下、ワタの簡単な調理法。
 イカを捌くとき、包丁を入れる前に、まずイカの脚をワタごとに胴体から引き抜くように外す。ワタの膜が破れないように慎重に引き抜く。それほど力は要らずに、脚の上部の目玉や烏鳶やワタがつながったまま、筒状の胴体から抜き取れるはずである。抜き取れたら、包丁でワタを脚部から切断する。丁度、目玉のあたりに包丁を入れれば、膜を傷つけずにワタだけを取り出せる。脚や胴体は煮るなり焼くなり別途調理するとして、肝心のワタの調理法だが、耐熱の小鉢に入れたワタに麺つゆを少量振り掛けて、電子レンジで1分加熱する、以上。よい酒の肴になる。
 注意すべき点は、電子レンジで加熱すると、膜の中でワタが破裂して身が飛び散ることだ。それをできるだけ抑えるには、加熱する前に包丁で突いて膜に一箇所切れ目を入れておくとよい。それでも小破裂は避けられないので耐熱容器にしっかり蓋をする。サランラップで小鉢を覆い、これにも一箇所切れ目をいれた上から、シリコン製の耐熱容器をかぶせておくと飛び散りを防げる。酒・味醂・醤油を合わせて小鍋で煮るという方法もあるが、電子レンジに麺つゆのほうがずっと易しい。