棘ある植物たち

 栽培種のバラの棘は花と比例するように派手で鋭い。手折る人を威嚇し、花を守っているようだ。野茨は花も可憐で棘も鋭いながら慎ましいものだ。地を匍う天然のバリケードとして荒蕪地を囲み、人がはいるのを健気に拒んでいる。

野茨の花

 茄子のヘタの眼にみえぬほど微小な棘で思わず指を刺されることがある。人の食欲に対しては勝ち目なしながら、ささやかな武装。
 柊の葉、アザミの花萼や葉、山椒の枝の鋭い棘。枝を這うアゲハの幼虫は、柑橘類の枝にある長く鋭い棘を嫌がるだろうか。

冬のタラの木の幹

 タラの木の棘はグロテスクなほどびっしりと生え、しかも大きくて鋭い。三年疼きの異名をもつ。春先の新芽を捕食者から護り、年中、近寄るなと静かに警告している。