香取海

宗像神社がある台地は1000年ほど前は岬だった。神社の鳥居の脇に掲げてある案内札に、「約一千年程前、印旛沼、手賀沼、利根川、牛久沼、霞ヶ浦等この一帯がまだ内海であった頃」と記述があるのを見たとき、足下から潮騒が上げてくるのを感じて、陶然となり、やがて身震いが来た。香取海(かとりのうみ)とも、ただ内海(うちうみ)とも呼ばれた。台地はその内海に突きでた岬であり、崖下の水田地帯は干潟や浅瀬で、おだやかに潮が満ちては引いた。