徘徊雑句12(冬から春)

木末こぬれより仄赤らみて寒を越ゆ  
 
山笑い林笑いて悔悟あり  早春の雑木林  早春の森  早春の落葉樹林 
       
春立つを待ちかねてきじ野に出たり  初雉
 
春耕の余禄競いて啄みをり  春耕
  
臍の穴に銀の泡ふたつ隠れをり
 
愚かなることのみ多し生きめやも  

悔ゆること多し枯れ原炎上す     芒の原

不踰矩ななじゅうの境ゆるや恥重ね  
  

むごきまで枝刈られ樹々芽吹けかし  街路樹 剪定された欅  
   
辛夷こぶしなる蕾握れる花夢見     和毛に包まれた辛夷の蕾
  

鉄塔を仰げばしろき昼の月  昼の月  
  

冬の垢すすぐ小鳥や水ぬるむ       水を浴びるヤマガラ  
  

濁流の滔々暗渠蛇行せり