徘徊雑句15(花鳥3)

 

芽吹く地点をいかに決するや筍は     
 
浮上すか四発の回転翼ローター始動せば  
  

黙々と苦き花粉を集めをり  
    
しおたれし羽根子育ての証ならむ  
    
油蝉炎天を炒りかつ炒られ   
    
全山の蝉合唱しはた黙す  
    
蚯蚓みみずにも季語あり炎天に悶死せり
  
今朝やたら天使の降りくる死屍累々
  
恥ずかしき記憶溢れて溺瀕死できひんし 
  

日々に肥え枝しならせてなつめ熟る  
  

嘘だけで成り立つ言葉単極磁石モノポール
 

朝狩のカワセミ水面みなも一撃す     
  
蝉時雨はた止み森閑青葉闇
  
雨上がり森滴々と遅れ垂る
     
軒陰に大南瓜かぼちゃ転がされたる日照りかな
  

めずる人なけれど藤の豆実り 
  
直射光忌み片陰を選り歩き 
  

断食の壁にすがりて死を待てり  
    
腹見せて甲虫断末魔痙攣  
    
来光を拝まむと欲り蓮ひらく