徘徊雑句17(花鳥5)

街路樹を光の鎖イルミナシオン捕縛せり  樹に巻きつけられた鎖
    
の睡りさいなむ電飾明滅す  街路樹を苛む電飾 
  
水底みなそこに携帯電話鳴り続き  水紋を広げる真鴨 
    
レンズ越し翡翠とりと視線を交わしけり  こちらを見るカワセミ 
     
振りほどき振りほどき醒む蛸の夢  羽搏いて水滴を振り払う鴨
  
前生は蛸なるべしや幻肢痛  
   
山路往く足裏に団栗ドングリの砕けつつ  夥しく散り敷く団栗 
    
網繕う力は尽きて蜘蛛凍え  破れた巣の凍える蜘蛛  
      
寂しくば鴉など木守柿きもりがき  鴉 木守柿   
    
半ば散り銀杏いちょう華やぎいや増せり  大銀杏 
  
朝曇りなれど翡翠カワセミの背の光  岩の上のカワセミ
  
夢に得し佳句百吟や跡もなし