徘徊雑句18(花鳥6)

鉄塔は茜に溶けて闇滲む  茜空の鉄塔 
 
緑黒に銀みなぎり鵜羽広ぐ  羽を広げる鵜 羽を広げる鵜 
 
鵜ら並び暗黒の深さ競いをり  三羽並んだ鵜
  
段ボールかぶり道端に寝て乞食こつじき
 
鴨羽根をちて真白き腋見せつ  羽を振るうカモ 羽を振るうカモ
 
鴨群れてさざ波に揺れ浮き寝かな  群れるカモ  群れる鴨
 
口惜しかり他人ひとの夢に出て蕩尽す
 
鴨の背に淡雪融けず積もりをり  雪の中の鴨(水彩風)
 
金箔の剥れ薄衣の少年出づ  散るイチョウ(箔押風)
 
蛸にたまあり幽霊にも化けるべし
 
フィボナッチ数に呪われ蛸茹だる 茹蛸  
 
耳澄まし幽かなる樹の脈を聴く 耳を澄ますコゲラ
 
羽ばたきの極まりて宙に静止せり ホバリングするカワセミ ホバリングするカワセミ
 
餌乏しき凍てたる水面みなも狙いをり 急降下態勢
 
くちばし尖り夢の羊膜に突き入れり
 
餌嚥む鳥の喉にミラーニューロン感応す ザリガニを食うカモ 餌を嚥もうとするカワセミ
 
挽き伐られし剪定のあと樹液凍む  剪定の痕
 
寒風や鳥のうなじを吹き乱し  寒風に吹かれるカワセミ2 寒風に吹かれるカワセミ3  
 
鴨素足氷を踏みて朱かりき  氷上のカモ
 
寒の雨堅き芽はぐくみ滴れり  枝を滴る雨