猫じゃらし

微かな風とじゃれてエノコログサの穂の一群れが揺れ、照りつける熱暑と蒸せかえる凪の息苦しさが、かすかにほどける。穂の繊毛の毛羽立ちで光が撹拌され、輪郭がほんのり丸くぼやけて、そこだけ現実味が薄らぐようだ。