記録媒体

 これまで経験してきた記録媒体の種類をリストにしてみると、結構長くなる。紙テープ、パンチカード、FD、MT、HD、MD、PD、CD、DVD、BD、USBメモリー、SDカード、SSD、などなど、とちょっと思いつくものを並べただけでも、十指に余る。漏らしているものもたくさんあろう。しかも、例えばFD(フロッピーディスク)は初期から後期にかけて物理的なサイズは8インチから3.5インチまで、同一物理サイズでも記録密度の疎密がそれぞれ何種類かあって、これらを別々と数えればこれまた軽く十種を超えるだろう。大掃除すると押し入れの片隅から旧い媒体が発掘されることがあり、捨てずに残して置いたのにはなんらかの理由があるはずなのだが、悔しいことにもう再生器械がなくて、そこになにが記録されているか確認しようがないのだった。デジタル媒体の寿命は半永久とか謳われることがあるが、現実的には再生機器(プレイヤー)とペア、さらにいえばその再生機器を駆動するソフトウエアもセットでなければ始末に負えぬものなのだ。千年を超える紙の寿命と比べれば足元にも及ばない。カセットテープのラベルに手書きされた曲名はかろうじて読み取れるけれど中味を聞くすべがない、あるいは、かつて覇権をにぎったVHSの動画テープが、いまやベータのテープと同じように始末に困る代物になって、子供のよちよち歩きの記録は、再生できぬまま失われてしまうのだ。多くのWebの記事たちも同じ運命をたどる。いずれデジタル記録を発掘する考古学が興るであろうか。