木の芽和え

 去年、揚羽の幼虫に丸裸にされた山椒の小木は枯れずに、春になると芽吹いて葉を茂らせた。あたかも筍の季節に合わせてくれたかのようなのだが、もったいなくて毟って木の芽和えにして食う気にはならないのだ。妙な愛着。
 木の芽和えは、近所の雑木林から一枝手折ってきた山椒の若葉で作った。この季節の恵みの組み合わせを編み出した先人に驚嘆しつつ感謝を捧げる。

蘇った山椒

我流のレシピを付けておこうか。
:一本
 掘りたてをすぐ水煮する(掘りたてなら米糠がなくてもエグみはほとんど出ない)。これを1センチ角ぐらいの賽の目に切り、酒、味醂、醤油で煮て薄く下味をつける。
山椒の葉:3〜40枚(小枝に対生で十数枚の葉があるので2〜3枝分、葉柄から毟る)
 擂鉢で緑のペースト状になるまでよく擂る。このときに立つ鮮烈な匂いがこの料理の要であろう。
酢味噌
 味噌:大さじ2杯
 砂糖:大さじ1杯
 酢:大さじ2杯
 だしの素:少々
 山椒の葉は擂鉢の溝にこびりつくので、酢で洗い、味噌と砂糖を混ぜて溶かす。
(実は、調味料の量を計りながら調理したことはないので、上記の数量もほんの目安。)
仕上げ
 下味を付けた筍をザルに上げて煮汁を切り、酢味噌の擂鉢に放り込んで混ぜ和えれば、出来上がり。