徘徊雑句11(冬)

国造り教えたる鳥寒行かんぎょうす 寒中に水浴びする鶺鴒  水遊びする鶺鴒  
  

敷石に団栗落ちて朽ちるのみ              石畳に落ちたどんぐり  
  

蒼穹に鉄塔立ちて凍えをり  冬空に立つ鉄塔  
  

郁子むべなるか常緑樹とは知らざりき          ムベの生け垣  
  

大寒に枇杷の花咲き鳥呼ばう  枇杷の花に来た目白  
  

翡翠カワセミの残光冷たく水面みなも冴ゆ            獲物を狙うカワセミ  
  

氷上に立ちたる鴨の足冷たし       氷の上に立つ鴨  

氷上に坐したる鴨の腹冷たし       氷の上に坐るカルガモ  
  

冬茜富士沈めつつ溶暗す  夕闇に溶けゆく富士  
  

寒空に静脈の如枝這わす     見事な枝振りの巨きな落葉樹  
  

エナガ来てまだ堅き芽を啄める    まだ堅い芽吹きを啄むエナガ  
  

新婚の妻籠つまごみ探すや草叢に        藪の中に新居を探す雲雀  
  

火を放つべし芒原すすきはら乾き果つ  乾ききった芒の原  
  

驚きて飛び立ちたれど悠揚たり    
  

わが胴にも年輪ありや歳の垢         放置された丸太の断面  
  

中空に抱卵のつま守りをり  巣の中で抱卵する鵜とそれを見守る鵜