朝の歌

今朝の広すぎる食卓
の上の皿の上の
さんま
の尾鰭がどうしても皿
からはみでてしまうのだ
焦げて匂っているくせに
尾鰭を皿にいれる

死んだ魚の目
の尖った頭がつきでてくるの
で俺は朝飯を食う
ことができない

 きれいに肉をつつきくずし
 俺が今朝さんま一匹を食った
 という完全な骨の標本をいれる皿が   
 世界中の食器棚のどこに
 伏せてあるのか

俺の朝飯を阻止する
はねた尾鰭
頑固に閉じている鰓蓋
俺の一日がはじまることを阻止する
偏執的なさんまめ!