聖餐

頑迷な日のめぐりめ
がらんがらんと清い音をたてて糸車を廻し
ほつれる神経を紡ぐ
繊い声にきつくすきとおる絹を巻きつけながら
老いていくのかたとえば
耳朶だけが火照る夜
裏返えされた甲虫の空を
かきむしる脚のあがきに見入っている なぜなら
流血があるのに
傷口は昨日に属している
あるいは不可能な明日‥‥
新しい口紅をぬられた唇は
無傷のかたちに閉じているのかどうか
めくられぬ暦
一枚の皿は
どうかぞえても一枚の皿なのか
登録されない指紋を食卓におしあてて
石が煮えるのを待っている
つぐんだ口を
じっと映したまま冷えるスープがある